健康診断結果の見方

健康診断は、自分の身体の状態を知るための一つの方法です。
健康診断の一つの検査結果から確実に何の病気であるか断定できることは少ないのですが、 身体の弱っている部分や、生活習慣病など病気の兆候がないか、また、数年の検査結果を 見比べたり、いくつかの検査結果を見比べることで健康状態を知ることができます。
健康診断結果を受け取ったら、検査値と合わせてご自身の生活習慣に問題がないかどうか ふり返ってみましょう。

身体計測

は「特定健康診査」の実施検査項目です。

  正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常
身長

 

身長と体重の値からBMIを算定します。
体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}=BMI

BMI22となる体重が理想的です。高すぎると肥満型、低すぎるとやせ型です。

肥満やせ

体重

 

BMI

18.5~<25

BMIの基準【日本肥満学会】

BMI 25以上で肥満、18.5未満で痩せすぎと定義されていますが、適正体重内でも急激な体重の変動や、体重が増え続けている場合などにも注意が必要です。

腹囲

男性 <85
女性 <90

立位で、メジャーをおへその上を通るよう水平に巻き、お腹まわりを測ります。数値が大きければ内臓脂肪の蓄積を疑います。

内臓脂肪型肥満

ポイント!

溜まった内臓脂肪は「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」など生活習慣病の原因となります。血液検査で、血糖検査や血中脂質、血圧が高めになっていませんか?
病気に発展しないうちに、生活習慣の偏りを修正して内臓脂肪を減らしましょう。

視力

 

眼の病気や全身の病気で異常を示すことがあります。

視力低下

聴力

 

オージオメーターなどを用いて、耳の聞こえ具合を調べます。

聴力低下
難聴など

循環器検査

は「特定健康診査」の実施検査項目です。

  正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常
血圧

129以下/84以下

血圧計を用いて、心臓が全身に血液を送り出す時に血管に加わる圧力(収縮期血圧:高い方の血圧)と、送り出された血液が心臓に戻ってくる時の血管に加わる圧力(拡張期血圧:低い方の血圧)を測ります。
高ければ高血圧を疑いますが、測定時の体調や精神的なものなどでも変動することがあります。

高血圧
低血圧など

血圧の基準【日本高血圧協会「高血圧治療ガイドライン2019」より】

診察室での血圧が140mmHg以上、90mmHg以上の両方またはどちらか一方でもあれば高血圧と定義されます。医師が複数回の測定値や、その他の状態を含めて判断し、高血圧症と診断されます。

安静時
心電図検査
異常なし 心電図は、心臓を動かす電気信号をグラフに表したものです。その波形から心臓に問題がないかを調べます

不整脈
心筋梗塞
心肥大など

尿検査

は「特定健康診査」の実施検査項目です。

  正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常
蛋白 (-) 尿中に排泄される蛋白質を調べる検査です。通常、尿中にはごくわずかな蛋白しか排出されませんが、腎臓や尿路に異常があると漏れ出し、尿蛋白陽性になります。
ただし、激しい運動やストレスなどによっても尿蛋白が陽性になる場合があります。
腎機能障害
尿路感染症など
(-) 尿中に排泄される糖分を調べる検査です。尿糖が陽性の場合は、糖尿病などが疑われます。 糖尿病など

呼吸器検査

  正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常
胸部X線 検査 異常なし X線照射(レントゲン)によって胸の写真を撮る検査です。肺や心臓などに問題がないか調べます。 肺癌 肺炎 結核 心肥大 心血管の異常など

血液検査

は「特定健康診査」の実施検査項目です。

    正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常




白血球

4000~9000

白血球は体内に進入した細菌やウィルスと戦う働きをするため、感染症や炎症などで増えます。また、血液の病気によっても増減します。
ただし、激しい運動や妊娠、喫煙などで増える場合もあります。

感染症
骨髄の異常など

赤血球

男性 400~579
女性 360~519

赤血球は肺から取り込まれた酸素を体内に運び、不要になった二酸化炭素を回収しています。

貧血
多血症
など

血色素(ヘモグロビン)

男性 13.0~17.5
女性 11.4~15.4

血色素は赤血球の中にある成分で、体内に酸素を運ぶ時に容器の役割を果たします。貧血などで低くなります。

ヘマトクリット

男性 38.0~51.9
女性 34.0~45.9

血液中に占める赤血球の容積を表します。



GOT

~30

主に肝臓の細胞に多く含まれる酵素です。肝細胞が傷つくと血液中に流れ出て多くなります。

肝胆道系障害
など

GPT

~30

γ-GTP

~50

腎臓・膵臓・肝臓などにある酵素です。飲酒の影響で高くなることが知られています。

ポイント!

お酒を飲みすぎていませんか? またBMIが高かったり、「脂肪肝」を指摘されたことはありませんか?
お酒の影響や、肝臓に脂肪が溜まりすぎて数値が上がることもありますので、生活習慣を見直してみましょう。


総コレステロール

140~219

血液中にいろいろな形で存在するコレステロールの総量を調べます。コレステロールは細胞やホルモンの材料となるなど、体内で重要な働きをしています。

脂質異常症など

中性脂肪

35~149

血液中の中性脂肪の量を調べます。中性脂肪が多すぎると動脈硬化が進行しやすくなります。TG500以上で急性膵炎がおこる事があります。

HDLコレステロール

40~99

いわゆる善玉コレステロールです。低いと動脈硬化が進行しやすくなります。

LDLコレステロール

70~139

いわゆる悪玉コレステロールです。高いと動脈硬化が進行しやすくなります。

ポイント!

脂ものや炭水化物の摂りすぎ、アルコールの飲みすぎ、喫煙などの影響を受けて脂質バランスが崩れます。当てはまる生活習慣がないかふり返ってみましょう。


空腹時
血糖値

60~100

血液中の糖分を調べる検査です。高いと糖尿病が疑われます。

糖尿病など

ポイント!

偏った食事やあまり動かない生活をしていませんか?
内臓脂肪が溜まると血糖値を安定させるインスリンの働きが悪くなります。高めな人は生活習慣の見直しをしましょう。



クレアチニン

男性 ~1.19
女性 ~0.89

腎機能を調べる検査です。
腎臓の機能が大きく下がると高くなります。

腎障害など

尿酸値

~7.0

血液中の尿酸を調べる検査です。尿酸とは、プリン体の最終代謝産物のひとつで腎臓から排泄されていますが、出納バランスが崩れると血液中に多くなります。
血液に溶けにくい性質のため、多くなると結晶となって関節や内臓に沈着したり、結石を作ったりします。関節に溜まって炎症が起こると痛風特有の痛みの原因となります。

高尿酸血症
痛風など

消化器検査

  正常値 検査方法と意味 検査から
疑われる異常
胃部X線検査 異常なし バリウム(造影剤)と発泡剤を飲み、胃粘膜表面についたバリウムの影をX線撮影(レントゲン)し、胃の形状や動きを検査します。

胃ポリープ
胃潰瘍
胃炎
胃癌
食道疾患など

便潜血反応検査 (-) 大腸腫瘍のスクリーニング検査です。大腸の精密検査である大腸内視鏡検査を行うべきかを選別します。 大腸癌など